これは「養子の子の立場」の方とお会いするとよく聞かれることです。
きっと私の例は決して良い参考ではないと思いますが、こう思っている養子の子もいるよ、という意味も込めてここに記しておこうと思います。
私は自分のこれまでについてを探ること、そして実母を探していることに関しては今の養親には話をしていません。
30歳を過ぎるまで、「普通の家族」だと信じて疑わなかった私は、養親を大切に思っているからこそ言いませんでしたし、今でも言えません。(本当は養子の子が出自について興味を持った時に、納得いくまでサポートするのが養親としての責任だとは思うのですが。)私自身が養子であることを家庭内で口にするだけで養母は「私の育て方が悪かったのか」「今でも生んでくれた母に会いたいのか」と悲しみに暮れてしまうのです。
せっかく実家に帰省している貴重な時間でお互い悲しい気持ちになるのは極力避けたいと思ってしまいます。敢えて養子の話題は口にしないのが家庭の暗黙のルールのような気がします。家庭で養子の話はタブーだった、と訴える養子の子は多いと感じています。
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養親に自分の気持ちや悩みを話すことはありませんが、その代わりに主人には全て話をして愚痴も悲しみも全て聞いてもらっています。本来なら養親がその役割を追うのが一番正しい道筋だとは思いますが、話を聞いてもらう、気持ちを整理してもらうという点では主人でも遜色ないかなと思ったりもしています。
養親だと、養親の思いも入ってしまってお互いに腹の探り合いになってしまうような気がするのですが、主人はそこまで特別養子に詳しくないので良い意味、「一般的」で「適切」に話を聞いてくれていると感じます。
養子の問題はもちろん当事者で話し合うのが適切だと思います。お互い当事者であるが故、共有出来る情報や痛みがたくさんあるでしょう。しかし、反対に痛み分けになってしまうことも考えられます。痛み分けになってしまった場合、その後の養親との距離の取り方が私は未熟者なので分かりません。。。
その一方で私たちが抱えているような痛みに寄り添ってくれる人も周囲を見渡すと必ずいると私は感じています。養子というアイデンティティーの問題はもちろん誰にでも気軽に話出来る問題ではありません。勇気を出して相手に茶化されたり、適当にあしらわれては相談するつもりが傷ついてしまいますもんね。
まずはいきなり養親さんに話を切り出すのではなく、信頼出来る人に状況をお話して気持ちを整理してもらうのが、自らの心を落ち着ける第一ステップでもあるのかなと私は考えています。
一緒にこの長旅を乗り越えましょう。