古泉智浩 著『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』

今回ご紹介する本は、漫画家の古泉智浩さんが書かれた『うちの子になりなよ』です。

 

今年のお正月、朝日新聞に古泉さんが書かれたこちらの広告が掲載されました。

1コマ目の「お正月を家族と一緒に過ごしています」の「家族と一緒に」という部分がとても好きです。

独特のタッチで可愛く描かれる古泉家の何気ない日常。古泉家の歴史がこの1冊に詰まっています。

うーちゃんが可愛くて仕方ない!!

この本の主人公は古泉さんご本人と奥様、そして古泉さんのお子さんの「うーちゃん」。

このうーちゃんがとっっっても可愛いんですよね。

私にはまだ子供はいないのですがうーちゃんを見ていると「あぁ、子供が居たらきっと毎日こんな風に楽しいんだろうな」と思わずイメージし、ニヤニヤしてしまいます。

うーちゃんがTVから流れるロックに合わせて踊るシーン、眠くなるようにアレンジした絵本の読み聞かせを聞きながら寝てしまうシーン、歯医者に行ってすぐに口を開けてしまうシーン。

どれも想像ができてクスッと笑ってしまいました。

無邪気な子供ってやっぱり可愛い、子供がいる毎日って素敵…。子供が見せてくれる日常は魔法にかかったようなキラキラした日常だな、そう思わせてくれました。

特別養子縁組の流れがわかる

最初は里子として古泉さんの家へやってきたうーちゃん。

「養子縁組をするのはまだまだ先だな…」と思っていた矢先に児童相談所の人から養子縁組の話を持ちかけられ事態は急展開。

古泉さんが特別養子縁組をする為のやりとりが詳しく書かれているのでこれから養子縁組を視野に入れている方にとっては非常に参考になるのではないでしょうか。(時代や地方によって手順は異なります)

特別養子縁組では通常の養子縁組と異なり、実親からの同意がないと縁組が出来ません。古泉さんの場合は実親さんが体調不良で入院されており、返事が遅れていたようです。

「すんなりとはいかない」と自身に自戒をしつつも、この子の親になりたい!と裁判の結果が気になってしまう様子などすごくリアルだなぁと思いながら読んでいました。

育て方に迷う姿は親そのもの

古泉さんはうーちゃんを寝かせるが為に物語のあらすじを変えたり、欲しいおもちゃを用いてトイレトレーニングをしたりしてしまいます。

親ならば誰しもが一度や二度、子供に対して駆け引きをしてしまったり、物事を都合よく伝えてしまうことはあるのではないでしょうか?

私も歯ブラシをしたらシールを1枚もらえるというシステムで毎晩を歯ブラシをしていた記憶があります。

しかし、まだ幼い我が子にとって「こんな教え方で本当にいいのか?これは親の都合ではないか?」と我が子の今後の事を考え、自身に問いかける姿は紛れもなく我が子を思う親の姿だと感じました。

巻末の対談にも金言が!

この本の最後には養子縁組の先輩と称するAさんと古泉さんとの対談が掲載されいています。

Aさんは交際相手の子供を養子として引き取り、シングルファーザーとして育てています。

Aさんは対談の中で

「その子を見た時、触れた時に『可愛い』と感じた感情があったとしたら、その気持ちがいろんなことを支えてくれると思う。

 

血の繋がりがある/ない、よりも「子育てって大変だね」という話になっていく

 

世界で一番彼のことを知っているのは自分だ。世界で一番彼のことを心配しているのは自分だ。

と語っています。

血の繋がりがある・血の繋がりがない、は問題ではなく、一緒に暮らし、共に生きていくことで深まっていく絆にとても感動しました。

また、巻末に奥様のお話も記載されているのですが、私はこの奥様の手記で大号泣してしまいました。

私も過去にこんなにも母親からたっぷりと愛情を注いでもらっていたんだ、と母の気持ちを考えると胸が熱くなり、感謝の気持ちでいっぱいです。

養子縁組を視野に入れているなら読んで欲しい!

古泉さんの素敵なタッチで描かれる漫画が中心となっているこの本。

文字だけで特別養子縁組について説明されている本とは異なり、かわいい漫画で描かれていることによってスッと内容が頭に入ってきます。

特別養子縁組の流れを学習するだけでなく、この本の可愛いうーちゃんを見ていると「私もいつか子供とこんな素敵な毎日を過ごしたいな」と読む人の未来を照らしてくれるような、そんな1冊です。

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