私の妊娠・出産について〜3・病院・自治体との付き合い方

病院・自治体との付き合い方

妊娠が確定し、出産する病院を決め受診する時に私は「妊娠・出産、そしてその後も長くお世話になる病院だから最初から全部包み隠さずに話をしよう」と決めました。初診時に書く問診用紙にある「近親者の中に以下の病気の方はいらっしゃいますか」の設問も全て「わからない」と回答しました。

医師にも「私は養子で実の母親を知らない。自分の母子手帳も見たことがないし、何週で生まれたのか、何時間かかって生まれたのか、出生体重も時間も分からない」と正直に話をしました。

主治医の先生もこういうケースは初めてだったようですが、「もちろん母体の情報も大切ですが、一番大事なのはこれから生まれてくる赤ちゃんです。一緒に赤ちゃんを大切に育てていきましょう」という話をしてくださいました。

後々トラブルがあり、転院することになるのですがその時にもこの「私は養子である」という情報は引き継がれたようでとても助かっています。

過去に触れずに妊娠・出産。子育てを終える自信がない

妊娠して病院に行った際、母子手帳をもらいに行った際、毎回紙を渡され家族構成や相談相手の有無について問われました。

ここでも毎回私は相談相手を誰にしようか迷っていました。母を入れるか入れぬべきか・・・。(今考えると真面目に考えすぎですね。そういえば当時主人にもそう突っ込まれていました)

自治体や病院としては支援が必要な家庭があったら支援をする為に話を聞いてくれていたのでしょう。私はここでも毎回正直に自分の境遇について話をしました。

話をすると驚かれたり、大変だったね、と声をかけられリアクションに困ることもありましたが(つわりがしんどい時期だったこともあって些細なやりとりでも精神的にぐったりすることが多かったです)最初に話をしておかないと自分がしんどくなった時に再度話をするのが面倒だなと考えました。

それに私は「自分の出生がいびつなものである」という事実に触れぬまま妊娠・出産・子育てをするのは難しいと感じていました。

私と主人の両親がどちらも県外に住んでいて私達夫婦2人で頑張っていく途中で、困った時には私のバックグラウンドも含めて病院や自治体に相談したいと思ったので最初から包み隠さずに話をしていました。

余談ですが、病院や自治体の保健センターで自身の生まれの話をする度に「特別養子縁組」という制度はまだ広く知られているわけではない、という事実に少し驚きました。助産師さんや保健師さんでさえも「普通の養子とは違うんですか?」とか「養親さんとは名字が違うんですか?」とか「実母さんとは一度もお会いしていないのですか?」などと聞かれ、基本的な制度の内容を何回も説明したような気がします・・・。

里帰りしなかった理由

私は生まれが秋田県なのですが、今住んでいる宮城県で子を出産しました。

里帰りしなかった理由は「秋田で生むならここだな・・・」という病院がコロナの為里帰り出産を制限していたことが一番大きな理由だったのですが、「母は出産を経験していないから里帰りしても2人でてんやわんやするだけだな・・・」という思いも正直ありました。

コロナ禍で県を跨いだ移動の自粛を求められていたこともあり、里帰り出産をすると主人が子どもと会う機会が減ってしまう、そしてそれに伴って私達夫婦としての育児のスタートで差が出てしまう、と考えたのです。

出来る限り主人にも子どもとたくさん接して欲しいと願っていたこともあり、里帰りをせず自分の住んでいる街で出産することにしました。

母親教室で出会った母乳神話

妊娠して初めて耳にした「母乳神話」という言葉。

「母乳は素晴らしい!赤ちゃんは母乳で育てましょう」という教えのことらしいです。

私が初めて母乳の話と出会ったのは自治体が主催する母親教室でのこと。妊娠中に沐浴の仕方を習ったり抱っこの姿勢を習ったりする教室で、その教室には母乳の素晴らしさについての話も盛り込まれていました。

出産してから女性の身体はすぐにこれまでの赤ちゃんを守る働きから母乳を生産する働きにシステムが代わるそうで、中でも最初に分泌される初乳は大切!!!と教え込まれました。赤ちゃんにこれから生きていく上で大切な免疫をつけるには初乳がとても大事!というものでした。

お話の中で「みなさんもお母さんから初乳をもらっているはずです」とか「みなさんもお母さんの母乳でこうして大きくなったのです」とか、「母乳を上げるというのは栄養面だけではなくスキンシップをする上でも非常に大切」「母乳を飲んで大きくなった赤ちゃんは粉ミルクを飲んで大きくなった赤ちゃんより丈夫に育つ」などという話がありました。

そのような話を聞くたびに「私は初乳をもらったのだろうか」とか「私は母乳で育っていなかったな」とか「私は母乳をもらっていなかったけど病気ひとつしてこなかったな」などとひねくれた考えを持ってしまいました。

また、「この機会にご自身の母子手帳を見返してみましょう」とか「ご自身が生まれた時の話をお母さんに聞いてみましょう」という話も、頷きながら心の中では「それが出来たら楽なのにね」と思ったりしていました。

自分の赤ちゃんの為に話を聞きに行ったのにも関わらず、自分の過去のことと照らし合わせてしまい、素直に話を聞けなかった自分にも嫌気が差してくることもありました。

これは決して自治体の母親教室のプログラムが悪いとか、言い方に配慮がないという話ではなく、私が普通の生まれ方をしてこなかったということが原因で生まれたモヤモヤなのであまり気にしていなかったのですが、普通の人なら何気なく聞ける話にもトゲを感じてしまう、そんな自分に疲れてしまうことが多かったです。

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